長い動画の冒頭と末尾を削りたい、録画の必要な場面だけ渡したい、といった作業では、毎回動画全体を再エンコードすると時間がかかり、設定によっては画質や音質もさらに劣化します。コーデックを変える必要がなく、単に区間だけを短くしたいなら、圧縮済みの映像・音声をそのままコピーする方法があります。

無劣化動画カッターは、FFmpeg WebAssemblyをブラウザ内で動かし、選択区間を原則として再エンコードせず切り出します。ただし『無劣化』は『どのフレームからでも完全一致で始められる』という意味ではありません。ここではストリームコピーの利点とキーフレーム制約を理解したうえで使う手順を整理します。

再エンコードとストリームコピーの違い

通常の動画編集では、元の圧縮映像をいったん復号し、新しい設定でもう一度圧縮して出力することがあります。解像度変更、コーデック変換、画質調整にはこの処理が必要ですが、単純な区間カットだけなら余分な場合があります。

ストリームコピーでは、元動画の圧縮済み映像・音声を再圧縮せず、新しいコンテナへ必要な区間だけコピーします。追加の世代劣化を避けられ、CPU負荷も小さく、一般に処理時間を短縮できます。元のビットレートが高い場合は、短くしても1分あたりの容量は基本的に変わらない点には注意が必要です。

無劣化でも開始フレームがぴったりにならないことがある

H.264やHEVCなどの動画は、すべてのフレームを独立して保存しているわけではありません。途中の多くのフレームは前後の情報に依存しているため、復号を開始できるキーフレームが一定間隔で入っています。

再エンコードせずに切る場合、指定した開始時刻がキーフレームでなければ、直前の復号可能な位置へ開始点が移ることがあります。終了側は比較的扱いやすい一方、開始側を任意フレームに完全一致させたいなら、その周辺を再エンコードする方式が必要になる場合があります。無劣化カッターでは処理後に開始位置の調整があれば確認できます。

まず動画の中身を確認してから区間を決める

サムネイル付きタイムラインで大まかな場面を見つけ、S/Eハンドルや時刻入力で残したい範囲を指定します。ブラウザが元動画をプレビューできる形式なら、再生位置とサムネイルを見ながら調整できます。必要に応じて音声を外した無音クリップとして保存することもできます。

コーデックや音声形式が分からない動画、何度も処理に失敗する動画では、先にMedia Inspectorでコンテナ・映像コーデック・音声コーデック・フレームレートなどを確認すると原因を切り分けやすくなります。ブラウザでプレビューできるかどうかと、FFmpegがストリームコピーできるかどうかは同じ条件ではありません。

容量を小さくしたいなら、切り出しと圧縮を分けて考える

無劣化カットは不要な時間を削るので、動画全体の容量は短くした分だけ減ります。ただし、残した区間そのもののビットレートや解像度は変えません。『30秒にしたのにまだ大きい』場合は、カット後に別途圧縮が必要です。

先に必要区間だけ無劣化で切り出してから圧縮すると、再エンコードする時間と対象データを減らせます。一方、最終用途がGIFやWebPアニメーションなら、短い場面を選んで直接アニメ画像へ変換する方が目的に合うこともあります。最終出力を先に決めると不要な処理を減らせます。

手順

  1. 無劣化動画カッターを開き、MP4・M4V・MOV・MKV・WebMなど対応する動画を選択します。
  2. サムネイル付きタイムラインや再生位置を見ながら、S/Eハンドルまたは時刻入力で残したい開始・終了範囲を指定します。
  3. 音声が不要なら「音声を削除」を有効にします。
  4. 切り出しを実行し、ブラウザ内のFFmpeg処理が完了するまで待ちます。
  5. 開始位置がキーフレームへ調整された場合は実際の開始位置を確認し、問題なければ保存します。さらに容量を減らす必要があれば切り出したファイルを圧縮します。
Browser Kittyで試す

無劣化動画カッター

動画をアップロードせず、再エンコードなしで必要な範囲だけ切り出します。

ツールの詳細を見る

注意点

  • 前後を少し削るだけなら、再エンコード型の編集よりストリームコピーの方が速く、追加劣化も避けられます。
  • 開始フレームを完全一致させることが最優先なら、無劣化カットではなく再エンコード可能な編集方法が必要になる場合があります。
  • 非常に大きな出力は完成ファイルをブラウザのメモリ上に保持するため、端末の空きメモリにも注意してください。

よくある質問

無劣化カットなら画質は本当に変わりませんか?

通常の切り出しでは圧縮済みの映像・音声ストリームを再エンコードせずコピーするため、再圧縮による追加の画質・音質劣化は発生しません。ただしコンテナの付け替えや開始位置の調整は行われる場合があります。

指定した開始時刻より少し前から始まるのはなぜですか?

H.264やHEVCなどでは、再エンコードせずに復号を始められるキーフレームから開始する必要があるためです。指定位置がキーフレームでない場合、直前の復号可能な位置へ調整されることがあります。

切り出したらファイル容量もかなり小さくなりますか?

削った時間分は小さくなりますが、残した区間の解像度やビットレートは基本的に変わりません。さらに小さくしたい場合は、切り出した後に動画圧縮を行います。

動画はBrowser Kittyへアップロードされますか?

いいえ。動画の読み込み、範囲指定、FFmpeg処理、出力生成はブラウザ内で行います。