PowerPointで作った研修資料や操作手順を、説明音声付きの動画にしたいことがあります。MP4にしておけば、見る側はスライドを操作せずに内容を確認できます。
PowerPointの標準機能でも動画は作れますが、発表者ノートを台本にして音声を付けたい場合は、Browser Kittyの「Presentation Video Maker」を使う方法もあります。
この記事では、PowerPoint標準機能との違いと、PPTXをナレーション付きMP4に変換する手順を紹介します。
発表者ノートを台本にして動画を作る場合は、Presentation Video Makerを開いて始められます。
PowerPointの標準機能でもMP4にできる?
PowerPointには、スライドを動画として書き出す機能があります。
Windowsのデスクトップ版では、通常「ファイル」→「エクスポート」→「ビデオの作成」から操作できます。Macでは「ファイル」→「エクスポート」でMP4などの動画形式を選びます。
すでにPowerPointでナレーションやスライドの切り替えタイミングを記録しているなら、標準機能で書き出すのが簡単です。
一方、発表者ノートの文章からナレーションを作りたい、スライドごとに音声を差し替えたい、といった場合にはPresentation Video Makerが使えます。
ただし、このツールはPowerPointのスライドを静止画として動画にする仕組みです。図形アニメーションや元の画面切り替え効果、埋め込み音声・動画は再現されません。
なお、PowerPoint本体の動画書き出しでも、OSやバージョンによって再現できる効果は異なります。特にMac版では、アニメーションが動画に反映されない場合があります。
用意するもの
必要なのはPowerPointのPPTXファイルです。古いPPT形式の場合は、あらかじめPPTXに保存し直してください。読み込めるファイルの上限は150MBです。
発表者ノートがあれば、その文章が各スライドのナレーション台本になります。ノートがない場合も、スライド本文をもとにした下書きから始められます。
Presentation Video Makerはブラウザで動作するため、アプリのインストールや会員登録は不要です。
1. PPTXを読み込んでスライドを確認する
Browser Kittyの「Presentation Video Maker」を開き、「PowerPointを選択」からPPTXを読み込みます。ファイルを画面へドラッグ&ドロップしても構いません。
読み込みが終わると、スライドが一覧表示されます。
ここで一度、スライドの見た目を確認してください。PowerPoint本体とは異なる描画処理を使っているため、フォントや文字の折り返し、図形・グラフの配置が変わることがあります。
特に、複雑なレイアウトの資料は、動画を作る前に各スライドを確認しておくと安心です。
2. 発表者ノートをナレーション台本にする
スライドを選ぶと、発表者ノートから取り込んだ文章が台本欄に表示されます。
発表者ノートには、発表中のメモや箇条書きが含まれていることもあります。そのまま読み上げると不自然な部分は、話し言葉に直しておきます。
略語や専門用語、数字の読み方も確認しておくと、後から録音し直す手間を減らせます。
スライドごとに、動画に含めるかどうかや、音声の開始前・終了後に入れる余白も設定できます。
たとえば、タイトルスライドを表示してから少し間を置いて話し始める、といった調整ができます。
3. ナレーションの方法を選ぶ
ナレーションはスライドごとに3つの方法から選べます。自分の声や音声ファイルは、PCでもスマホでも利用できます。
端末内読み上げは対応するPC環境で使います。確認済みのWindows Chrome / Edgeでは、録音時に「画面全体」を選び、「システム音声も共有」を有効にする必要があります。OSやブラウザによっては利用できません。
スマホでは端末内読み上げの試聴はできますが、その音声を動画用に録音する機能には対応していません。選べるナレーション方法は次の3つです。
- 端末内読み上げ:PCで利用できる読み上げ音声を録音する
- 自分の声:マイクを使ってナレーションを録音する
- 音声ファイル:あらかじめ録音した音声を割り当てる
4. 録音をそろえる
台本と音声の設定ができたら、ナレーションを準備します。
端末内読み上げを使う場合は、「このスライドを録音」で1枚ずつ録音するほか、「全シーンを録音」で対象スライドをまとめて処理できます。
自分の声ならマイクで録音し、音声ファイルを使う場合はスライドごとにファイルを指定します。
録音後に台本や音声の設定を変更すると、再録音が必要になることがあります。
画面の「次の要対応へ」を使うと、未録音や再録音が必要なスライドへ移動できます。動画に含めるスライドの音声がすべてそろってから、MP4を作成します。
なお、システム音声を録音するときは、通知音や他のアプリの音まで入る場合があります。録音中は不要な通知を止めておくとよいでしょう。
5. 画質・字幕・BGMを設定する
動画の解像度は720pまたは1080pから選べます。
文字の細かい資料には1080pが向いていますが、そのぶん端末のメモリを多く使用します。特にスマホでは、まず720pで作成するのがおすすめです。
スライドの切り替えは、カットまたはフェードを選べます。
必要に応じて、台本の文章を字幕として動画に入れたり、BGMを追加したりすることもできます。
字幕を動画とは別に使いたい場合はSRT・VTT形式、ナレーション台本だけを保存したい場合はTXT形式で書き出せます。
字幕は読み上げ音声とずれることもあるため、出力前に字幕プレビューを確認してください。
6. MP4を作成して保存する
音声と出力設定がそろったら、「動画を作成」を実行します。
動画の生成はブラウザ内で行われます。対応環境では高速に処理されますが、互換モードでは動画の再生時間と同程度、またはそれ以上の時間がかかる場合があります。
完成したら、まずMP4を再生してみてください。
スライドの表示崩れ、ナレーションの途切れ、字幕のタイミング、BGMの音量などを確認します。最後のスライドまで正常に再生できることも確かめてから、「MP4を保存」で保存します。
途中で作業をやめる場合は .pvm を保存する
枚数の多い資料では、ナレーションの準備に時間がかかることがあります。
途中で作業をやめたい場合は、「プロジェクトを保存」を使います。
保存される .pvm ファイルには、元のPPTX、編集した台本、録音素材、BGM、動画の出力設定がまとめられます。
再開するときは、最初の画面にある「保存した作業を再開」から .pvm ファイルを読み込みます。
作業内容は自動保存されません。
また、作成済みのMP4は .pvm に含まれないため、完成した動画は別に保存してください。
スマホだけでも動画を作れる?
対応するスマホブラウザでも、PPTXの読み込みからMP4の保存まで操作できます。
スマホでは画面下部の「スライド」「台本・音声」「動画」を切り替えて作業します。ナレーションにはマイク録音か、端末内に保存した音声ファイルを使用します。
ただし、スマホでは端末内読み上げの音声を動画用に録音できません。また、長い資料や高解像度の動画ではメモリ不足になる場合があるため、必要に応じてPCでの作成も検討してください。
PPTXや録音データはサーバーに送信される?
Presentation Video Makerでは、PPTXの読み込み、発表者ノートの抽出、録音、動画の生成をブラウザ内で処理します。
選択したPPTXや録音データ、作成した動画を、変換のためにBrowser Kittyのサーバーへアップロードすることはありません。
Web版を開く際にはツール本体を取得する通信が発生しますが、ファイル内容の送信とは別です。
なお、完成したMP4を動画共有サービスなどへアップロードする場合は、その共有先へファイルが送信されます。
まとめ
PowerPointでナレーションやタイミングを設定済みなら、まず標準の動画書き出しを確認してみてください。
発表者ノートを台本にして音声を用意したい場合は、Presentation Video Makerでスライドごとのナレーションを設定し、MP4に変換できます。
完成後は、スライドの表示と音声を実際に再生して確認しておきましょう。
Presentation Video Maker
PowerPoint(PPTX)を読み込み、発表者ノートや録音・音声ファイルを使ってナレーション付きMP4を完全ローカルで作成します。
注意点
- PowerPointのアニメーション・切り替え・埋め込み音声を維持したい場合は、標準の動画書き出しとの仕上がりを比較しましょう。
- スマホでは端末内読み上げの録音はできません。音声が必要なシーンはマイク録音または音声ファイルを用意します。
- 途中再開の.pvmと完成動画のMP4は別ファイルです。どちらが必要かを確認して保存してください。
よくある質問
PowerPointをインストールせずにPPTXをMP4へ変換できますか?
はい。Presentation Video Makerは対応ブラウザでPPTXを読み込み、ナレーション素材を用意してMP4を生成できます。ただしPowerPoint本体と同じレイアウトやアニメーションの再現は保証されません。
発表者ノートを自動で読み上げた動画にできますか?
発表者ノートは台本として取り込めます。対応するPC環境では端末内読み上げを収録できますが、画面全体・システム音声の共有が必要です。スマホではTTS音声を動画用に収録できないため、マイク録音や音声ファイルを使います。
スマホだけでMP4を作成できますか?
対応するスマホブラウザでPPTXの読み込み、台本編集、マイク録音または音声ファイル、動画生成と保存を行えます。メモリ負荷を考えて720pから試してください。
PowerPointのアニメーションや動画は再現されますか?
いいえ。アニメーションは静止状態になり、PowerPoint独自の画面切り替えや埋め込み音声・動画も再生しません。元の効果を維持したい場合はPowerPointの標準書き出しを確認してください。
作業を途中で保存して、後から続けられますか?
はい。.pvm形式のプロジェクトを明示的に保存し、次回「保存した作業を再開」から読み込めます。自動保存はなく、.pvmには完成済みMP4自体は含まれません。
発表者ノートや音声はアップロードされますか?
いいえ。選択したPPTX、台本、録音、BGM、生成動画はブラウザ内で処理され、変換のために外部サーバーへ送信しません。
参考資料
PowerPoint標準のMP4書き出し方法はMicrosoftの公式案内を、Presentation Video Maker固有の操作と制限事項は公開READMEを参考にしています。
- Microsoft サポート プレゼンテーションをビデオに変換する
- Microsoft サポート PowerPoint for Macで動画として保存する
- Presentation Video Maker 日本語README・操作と制限