申込書や確認書がPDFで送られてきて、名前や住所を入力したい、チェックを付けたい、手書きの署名を入れて返したい、ということがあります。いったん印刷して手書きし、スキャンしてPDFへ戻す方法もありますが、PDFへ直接記入できれば紙もスキャナーも必要ありません。

Browser KittyのPDF Fill & Sign / PDF記入・署名では、PDFにもともと用意されているフォームへの入力に加えて、文字や日付、チェック、手書き署名、画像などをPDF上へ追加して保存できます。選択したPDFはBrowser Kittyのサーバーへアップロードせず、ブラウザ内で処理します。

PDFへ文字を入力する方法は2種類

PDFを開いたとき、氏名や住所の欄をクリックしてそのまま入力できることがあります。これはPDF内部にフォームフィールドが用意されているPDFです。PDF Fill & Signでは、対応するAcroFormの1行テキスト、複数行テキスト、チェックボックス、ラジオボタン、ドロップダウン、選択リストなどを編集できます。

一方、紙の申込書をそのままPDF化したようなファイルでは、見た目には記入欄があってもクリックして文字を入力できないことがあります。この場合はPDFの上に文字を重ねて記入します。文字ツールを使えば、フォームがない場所にも自由に文字を配置できます。

1. PDF Fill & Signを開く

Browser KittyからPDF記入・署名 / PDF Fill & Signを開きます。アプリのインストールやアカウント登録は必要ありません。

Web版を開くときには最初にアプリ本体のHTMLを読み込みますが、その後のPDF解析や表示、フォーム入力、署名作成、完成PDFの生成はブラウザ内で行います。

2. 記入したいPDFを開く

PDFを1件選択します。PCでは開始画面へDrag & Dropすることもできます。読み込みが終わるとPDFのページが表示され、複数ページあるPDFではサムネイルからページを移動できます。

PDF Fill & Sign v1.0.0で一度に開けるPDFは1件、ファイルサイズの上限は100 MiBです。v1.0.0ではパスワード付きPDFには対応していません。保護されたPDFを使う場合は、作成者や利用中のPDFソフトが案内している方法で、編集できる状態のPDFを用意してください。

3. PDFにもともとある入力欄へ記入する

対応するフォームフィールドがPDFに含まれていれば、その入力欄を選択して直接記入できます。名前、住所、電話番号、備考、チェック項目、選択肢など、PDF側で用意されている項目をそのまま利用できます。

入力欄が多いPDFではTab / Shift + Tabで次・前の項目へ移動できます。画面上の前後ボタンから移動することもできます。PDF側で読み取り専用に設定されている項目などは編集できないため、フォームが入っているPDFならすべて書き換えられるわけではありません。

  • Tab: 次の対応入力欄へ移動
  • Shift + Tab: 前の対応入力欄へ移動

4. 入力欄がない場所へ文字を追加する

フォームがない場所には文字ツールを使います。氏名や住所、備考などを入力し、PDF上の必要な位置へ配置します。追加したあとでも、位置、内容、文字サイズ、色を変更できます。

文字や日付を追加したときに、PDFページ全体を画像化して文字を焼き付けているわけではありません。PDF Fill & Signでは追加した文字や日付をPDF FreeText注釈として保存します。ただしBrowser Kitty独自の日本語フォントをPDFへ埋め込む仕組みではありません。重要な書類では、保存後のPDFを普段使っているPDFビューアで開き直し、日本語を含めて正しく表示されているか確認してください。

5. 日付や✓・×・○を追加する

申込日や確認日などには日付ツールを使えます。通常の文字ツールでも日付は入力できますが、日付だけを追加したい場所では専用ツールを使うと手早く配置できます。

紙の申込書にある「□ はい / □ いいえ」のような欄には、✓ / × / ○を好きな場所へ配置できます。PDFにもともとチェックボックスがなく、単なる印刷用の四角が描かれているだけの場合にも使えます。これらのマークは可能な範囲でベクターのInk注釈として保存します。

6. 手書き署名・イニシャルを作る

PDFへ署名するには署名を選びます。署名はマウス、指、ペンで描けます。スマートフォンなら画面へ直接指で書けるので、マウスより書きやすい場合もあります。作成した署名はPDF上へ配置し、位置と大きさを調整します。

署名とは別にイニシャルも作成できます。PDF Fill & Sign上で新しく描いた署名やイニシャルは、ベクターのInk注釈として保存します。署名欄をスクリーンショットのような画像に変換して貼り付ける方式ではありません。

7. 署名画像・印影・その他の画像を追加する

すでに署名画像を持っている場合は、PNG / JPEG / WebPをPDFへ配置できます。アプリ上で手書きした署名はInk注釈、ファイルから読み込んだ署名は画像注釈になるため、見た目が似ていてもPDF内部での保存方法は異なります。

画像・印影からは、印影だけでなく会社ロゴ、写真、既存の署名画像なども配置できます。紙へ押した印鑑を撮影した画像では背景の白い四角まで表示されることがあるため、自然に重ねたい場合は背景透過PNGが扱いやすくなります。

8. 追加した内容を移動・修正する

Browser Kittyで追加した文字、日付、マーク、署名、イニシャル、画像は、配置後も選択して調整できます。少し位置がずれた程度ならPDFを最初から作り直す必要はありません。

PCでは矢印キーで少し移動し、Shift + 矢印キーで大きく移動できます。

9. Undo / Redoと拡大表示で調整する

PDF Fill & SignはUndo / Redoに対応しています。フォームへ文字を入力している最中でなければCtrl / Cmd + ZでUndo、Ctrl / Cmd + Shift + Zまたは環境によってCtrl / Cmd + YでRedoできます。対応するフォーム値の変更も履歴に含まれます。

小さな入力欄や署名欄へ正確に配置したいときは、PCではCtrl / Cmd + ホイール、スマートフォンでは2本指のPinch Zoomを使えます。拡大後は1本指でPDFを動かせます。

10. スマートフォンで署名する

スマートフォンでは画面下部にツール / ページ / 選択項目 / 保存が固定表示されます。署名を指で描いて、そのままPDF上へ配置できます。

署名や保存の画面も小さな画面で操作できるようダイアログ内をスクロールできます。PDFへ署名だけ入れたい用途なら、PCよりスマートフォンの方が手軽なこともあります。

11. 署名を端末へ保存するか選ぶ

選択したPDFや編集中の内容は通常は端末へ永続保存しません。ただし署名とイニシャルは「この端末に保存する」を自分でONにした場合だけIndexedDBへ保存できます。保存した署名は署名ダイアログから削除できます。

家族共用のPCや職場の共用端末では、署名を端末へ残したくないこともあります。その場合は「この端末に保存する」をONにせず、そのPDFだけで使うのが安全です。

12. 「入力内容を固定する」を確認する

PDFを保存するときには「入力内容を固定する」という設定があり、初期状態ではONです。ONにすると、対応するフォームの現在値をその位置へ見た目として書き込み、元のフォームWidgetを表示・印刷されない状態にします。提出用PDFではこちらが向いています。

OFFにすると、元PDFとPDF.jsの保存処理で保持できる範囲でフォームを編集可能な状態のまま保存します。

この固定化はフォームの現在値を見た目として書き込み、元Widgetを表示・印刷しない方法で、PDF内部からAcroFormのフィールド辞書そのものを削除する処理ではありません。一般にFlattenと呼ばれる処理と完全に同じではない点には注意してください。

13. 完成したPDFを保存して開き直す

記入内容を確認したらPDFを保存を選びます。元のPDFは上書きしません。標準では元ファイル名-filled.pdfという名前の別ファイルとして保存します。

提出する書類では、保存したPDFを一度閉じて改めて開いて確認しておくのがおすすめです。文字、チェック、日付、署名、印影、位置、日本語表示、フォームの固定状態など、編集画面ではなく実際に提出するPDFそのものを確認します。

手書き署名とデジタル署名は別物

PDF Fill & Signで追加する署名は視覚的な署名です。PDF上に手書きした署名の見た目を配置します。証明書やデジタルIDを使い、署名者や文書の改ざん有無を暗号技術で確認するデジタル署名とは別の仕組みです。

必要な署名方法は書類や手続きによって異なります。PDF Fill & Signには、証明書署名、本人確認、署名依頼、監査証跡、契約管理といった電子契約サービスの機能はありません。提出先から指定がある場合は、その方法に従ってください。

PDFに署名欄があっても証明書署名にはならない

PDF内部に署名フィールドが用意されている場合、PDF Fill & Signではその欄を署名を置く位置の目安として利用できます。

ただし、その署名フィールドへ証明書付きの暗号署名を作成する機能ではありません。手書きまたは画像の署名を、その場所へ配置します。

XFAフォーム・必須欄・パスワード付きPDFの制限

v1.0.0では既存のXFAフォーム欄は編集しません。ただしPDFページ自体を表示できれば、その上へ文字、日付、マーク、署名、画像を追加できます。

必須欄が空の場合に警告を表示することはありますが、v1.0.0では案内としての警告で、PDF保存そのものを強制的に止める仕組みではありません。また、パスワード付きPDFには対応していません。

PDFや署名はサーバーへアップロードされる?

PDF Fill & Signでは、選択したPDF、フォームの入力内容、手書き署名、イニシャル、印影画像などをブラウザ内で処理します。アプリから選択したPDFを外部サーバーへアップロードする処理はありません。

生成HTMLのContent Security Policyにはconnect-src 'none'が設定され、PDF.js本体とWorkerも生成HTMLへ内包されています。

Web版では最初のHTML取得通信は発生する

Web版のBrowser KittyやGitHub Pagesを開くときは、最初にアプリ本体を取得する通信が発生します。その後、PDFを処理するために選択したファイルをBrowser Kittyへ送信することはありません。

ネットワークから切り離した状態で使いたい場合は、生成済みの単一HTMLを保存して、対応ブラウザでfile://から直接開く方法もあります。

オンラインPDF署名サービスとは何が違う?

オンラインPDF署名と呼ばれるサービスでも、PDFの扱い方は同じとは限りません。文書をサーバーへアップロードしてWeb上で編集するサービスもあれば、Browser Kittyのようにファイルをサーバーへ送らず、ブラウザ内だけで処理するものもあります。

機密性のあるPDFを扱う場合は、単にブラウザで使えるかだけでなく、選択したPDFがどこで処理されるのかを確認しておくと安心です。

PDFへ記入・署名するときの流れ

既存フォームへの入力とページ上への追加を分けて考え、最後に保存したPDFそのものを確認すると迷いにくくなります。

PDFへ記入・署名して保存する基本フロー
PDFを開く 既存フォームへ入力 文字・日付・マーク追加 署名・画像を配置 固定設定を確認 保存して開き直す

全ページを確認し、実際に提出するPDFを開き直して最終確認します。

印刷・手書き・スキャンが必要な場合もある

PDFへ直接署名できるからといって、すべての書類をこの方法で提出できるわけではありません。手続きによっては、紙への自筆署名、実印、原本提出、指定された電子署名方式などが必要です。

提出方法に指定がある書類では、その条件を先に確認してください。

手順

  1. PDF Fill & Signを開き、記入したいPDFを1件選びます。
  2. 既存のAcroFormがあれば、対応する入力欄へ直接記入します。
  3. フォームがない場所には文字・日付・✓ / × / ○を追加します。
  4. 署名またはイニシャルをマウス・指・ペンで描くか、署名画像を選びます。
  5. 必要なら印影や画像を追加し、位置と大きさを調整します。
  6. 全ページを確認し、必要に応じてUndo / Redoや拡大表示で修正します。
  7. 保存時に「入力内容を固定する」をONにするかOFFにするか確認します。
  8. 完成PDFを別名で保存します。
  9. 保存したPDFを普段使うPDFビューアで開き直し、文字・署名・日本語表示・固定状態を確認します。
Browser Kittyで試す

PDF記入・署名

PDFフォームへ入力し、文字・日付・マーク・手書き署名・イニシャル・印影画像などを追加して、完成PDFを端末内で保存します。

ツールを開くツールの詳細を見る

注意点

  • 提出用PDFでは、保存後に必ず開き直して実際の完成ファイルを確認します。
  • 共用端末では署名の「この端末に保存する」をONにしない方が安全です。
  • 印影を自然に重ねたい場合は、背景透過PNGを用意すると扱いやすくなります。
  • 視覚的な手書き署名と証明書付きデジタル署名は別物なので、提出先の要件を確認します。
  • フォームの必須警告は保存をブロックしないため、空欄がないか自分でも確認します。

よくある質問

PDFに文字を入力できますか?

はい。対応するAcroFormがあれば既存の入力欄へ直接入力できます。フォームがない場所にも、文字ツールを使って自由に追加できます。

PDFに手書き署名できますか?

はい。マウス、指、ペンで署名を描き、PDF上へ配置できます。イニシャルも作成できます。

署名画像をPDFへ貼れますか?

はい。PNG / JPEG / WebPの署名画像や印影画像を配置できます。

PDFへチェックマークを入れられますか?

はい。既存のチェックボックスへの入力に加えて、任意の位置へ✓ / × / ○を追加できます。

スマートフォンでもPDFに署名できますか?

はい。2本指で拡大・縮小し、拡大後は1本指でPDFを移動できます。署名は画面へ直接指で描けます。

入力したPDFをあとから編集しにくい状態にできますか?

保存時の「入力内容を固定する」をONにすると、対応フォームの現在値を見た目として書き込み、元Widgetを表示・印刷しない状態にします。ただしAcroFormのフィールド辞書そのものをPDF内部から削除する処理ではありません。

手書き署名はデジタル署名ですか?

いいえ。PDF Fill & Signで作る署名は視覚的な署名です。証明書やデジタルIDを使って本人性や文書の改ざん有無を検証するデジタル署名には対応していません。

契約書にも使えますか?

視覚的な署名を受け付けている書類であれば利用できます。証明書署名、本人確認、監査証跡、指定の電子契約サービスなどが必要な手続きでは、提出先が指定する方法を利用してください。

パスワード付きPDFも開けますか?

v1.0.0では対応していません。

XFAフォームへ入力できますか?

既存のXFAフォーム欄は編集しません。PDFページ自体を表示できる場合は、その上へ文字や署名などを追加できます。

元のPDFは上書きされますか?

上書きしません。通常は元ファイル名に-filled.pdfを付けた別ファイルとして保存します。

PDFや署名はサーバーへ送信されますか?

選択したPDFの解析、フォーム入力、署名、画像配置、完成PDFの生成はブラウザ内で行います。Web版を開く際にはアプリ本体を取得する通信が発生しますが、選択したPDFをBrowser Kittyのサーバーへアップロードする処理はありません。